QOLのため時間とお金が欲しい医者

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医師に向いているのか悩んでいる人へ

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「覚悟のない者は医者になるな」

 

医者に対して身を粉にして働くことを要求する者は世の中に多くおります。

 

上の年代の医師はもちろん、医療に従事していない人、果ては受験生にまでいます。

 

こちらがバズったツイートの1つです。

 

 

「君に問う」で有名な文章で、長々とポエムが書いてありますが、要するに

 

「必死に勉強して自己を犠牲にして働け」

 

というわけです。

 

インターネットのなかった昔は外野から雑音が聞こえてくることはなかったでしょうが、

 

こういった声が医学生や医学部受験生の耳に入るようになってきました。

 

自分は医師の適正があるのだろうか……

 

悩む人もいるかもしれません。

 

結論から言うと、適正の有無なんか気にせずに目の前のことに取り組めばいい、というのが私の考えです。

 

あなた達を惑わす外野のことは気にする必要ありません。

 

恒産なくして恒心なし、という孟子の言葉が示すように、もともとはいかに心が綺麗な人であっても最低限のお金が手に入らなければ他者への奉仕はできません。

 

偉いおじいちゃん先生が若かった頃は仕事にフルコミットするだけで勝手にお金が入ってくるイージーモードですが、これからは戦略的に立ち回ることが求められるでしょう。

 

世のため人のため働きたいと思う人ことお金の勉強もしましょうね。

 

医師のキャリアプランとお金について書いた記事はこちら。

 

qoltimeandmoney.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

18歳で適正なんかわかるはずがない

 

医学部医学科というところは、他学部他学科と比べると変わっております。

 

定員がやたら少ないせいか、偏差値で見ると同じ大学とは思えないくらい、他のところと比べると難易度が高いところです。

 

卒業生の進路も随分と画一的です。

 

卒業したらほとんどが臨床医(世間一般でイメージされているお医者さん)になり、残りが研究者となります。

 

他の道に進む人はほとんどいません。

 

例えば、法学部卒業している人で法律に関わらない仕事をしている人の割合はどれくらいだろうと考えると、医学部医学科の異質さがわかるでしょう。

 

学問の場というよりは、医師養成の専門学校と表現したほうが実態に合っているかもしれません。

 

医学部ではよそではさほど問われない、医師としての適性がやたら重視されます。

 

しかし、これまで働いたことすらわからない高校生に適性なんてわかるはずもありません。

 

今までバットを持ったことが一度もないのに野球が得意かどうかわかりますか?

 

今までペンを持ったことが一度もないのに絵が得意かどうかわかりますか?

 

実際の医師の立場に近い存在となって接するのは病院で実習が始まってからです。

 

学年でいうと5年生とかそのあたりになってからであって、それまで医師に接することができるのはあくまで患者の立場からに過ぎません。

 

実際に患者さんから採血をすることなんて、医師免許を取った後です。

 

18歳の高校生の時点で、自分に適性があるかどうかなんてわかるはずがありません。

 

 

医師の適性って結局は何ですか?

 

自分でもわからないことに他人がとやかく言うのはいかがなものでしょうか。

 

そもそも、医師としての適性が一体何なのかはっきりした上で口出しをしているのでしょうか。

 

よくよく考えてみれば、医師として必要な適性は挙げていけば色々あるかと思われます。

 

  1. 頭の良さ
  2. 手先の器用さ
  3. 体力(特に睡眠不足耐性)
  4. 上級医やコメディカルスタッフと良好な関係を築くコミュニケーション能力
  5. 自分とは世代の異なる患者と話ができるコミュニケーション能力
  6. 治療のメリット・デメリットを秤にかけられるバランス感覚
  7. 金銭面や家族関係も考慮した治療の出口戦略を練る能力
  8. 病院やクリニックの売上を上げられる能力
  9. アップデートし続けられる継続力
  10. 家庭を犠牲にしても平気な鈍感力

 

ざっと私が思い浮かぶもので挙げていきました。

 

もちろんこれだけでなくもっと多くの要素があるでしょう。

 

上記の10個の要素が正しいのかどうかは置いといて、他人について医師に向いているか否かを評価する人たちは、果たしてこういったことを考えたことがあるのか疑問です。

 

適性とは何かを明らかにせずに、なんとなくで医師の適性について語っているように思われます。

 

彼らの言う「いい」医師というのは、「自分にとって都合のいい」医師ではないでしょうか。

 

既に医師になっている者もそうですし、患者さんについても同じではないでしょうか。

 

 

医師免許は限られたパイ

 

患者さんの立場からのいい医師像は今更語る必要もないでしょうから割愛します。

 

子どもの頃は良くわかっていませんでしたが、大人たちはポジショントークばかりです。

 

それを責めることはしません。

 

良い悪いではなく、ただそういったものとして受け入れましょう。

 

そもそも医師への道は、医学部定員によって厳しく制限されており、医師免許を貰える人は毎年ほぼ同じです。

 

卒業してからは国家試験もありますが、毎年切られている下層はほぼ一定であり、医学部定員と比べると微々たる影響でしょう。

 

要するに医師免許というのは限られたパイなわけです。

 

あなたが取ろうと思えば取れる医師免許を取らなかった場合に、他の人に医師免許が行き渡ることになると。

 

医学部定員は高度成長期からずっと上昇してきたわけですが、1980年代から将来医師余りになる可能性があるということで定員数を抑制する方向に転換しました。

 

21世紀になってからは、世間の風当たりに厚労省が耐えられなくなって多少定員を増やしましたが、また2020年以降からは抑制する方向に動いております。

 

 

あなたが医師にならなくて得する人たち

 

医師の数を抑制しようと厚生労働省に圧力をかけている者として、緊縮財政を目論む財務省もあるでしょうが、日本医師会の存在も忘れてはいけません。

 

名前からすると全ての医師を代表している団体のように思われるかも知れませんが、開業医の団体です。

 

雇われ医師とは無関係です。

 

同業者が増えすぎると商売上がったりになるので、日本医師会からすると医学部定員が増えすぎるのは不都合です。

 

医学部定員が絞られると、それだけ狭き門となって自分たちの子どもを医学部に入れることが厳しくなりますが、そこで「覚悟のない者は医者になるな」と発言するわけです。

 

学力のある非医師家系の高校生がキツイこと言われて医師になることを断念すればそれだけ、跡取りを医学部に入学させやすくなるわけです。

 

開業医たちの中には、子どもを医者にすることに対して凄まじい執念を持っている人もいます。

 

一部の者は裏口入学にまで手を染め、一部の私立医もそれを受け入れている状況です。

 

医師の仕事はキツイキツイと騒ぎながら、自分の子を金で跡取りにする行為は矛盾しているように思えてなりません。

 

彼らは何千万円も使ってまでして自分の子を過酷な環境に置きたいのでしょうか。

 

違うでしょう。儲かってウハウハだからそんなことをしているのです。

 

医師の儲けや仕事の大変さは人それぞれです。

 

自分が引退してからも地域住民のためにクリニックを維持したいのなら、開業したがっている医師に頼めばいいのではないでしょうか。

 

無理に自分の子どもに継がせる必要はないはずです。

 

 「覚悟のない者は医者になるな」は、ポジショントークに利用されています。

 

もちろん理想を持って医師として働いている人が本心から言っている場合もあるでしょうが、現実として自分が得するための建前として利用している人もいるのです。

 

綺麗事を言う背景は一体何なのか考えていけば見えてくることがあるでしょう。

 

医学部定員を増やすことに対しては、医師余りになると医療費が過剰になるとか、臨床医が教員となって現場が人手不足で崩壊するとか、そういったニュアンスのことを言う人達がいます。

 

年間の医療費は40兆円をオーバーしてますが、医師の数を1000人増やしたところで彼らの人件費は医療費全体の額に比べたらたかが知れています。医師の数を絞れば医療費をカットはできるでしょうが、他にもっとやることがあるでしょう。

 

教員として回す人員の余裕がないから定員増やしませんなんて、あまりに馬鹿げています。そんなこと言っていたらこの先ずーっと医学部定員を増やせません。

 

あなたが実際に医師になるかどうかは別として、医学部進学を断念する裏でほくそ笑んでいる人がいるのは事実です。

 

競合相手となりうる若い芽をあらかじめ潰しておくのは人生に成功する上で重要な要素です。

 

良心の呵責があって他人を潰したくない人はいるでしょうが、自分自身が潰されないように防御はきっちりしておきましょう。

 

若い芽の潰し方の詳細については、こちらのはあちゅう女史の記事にも書いております。

 

qoltimeandmoney.hatenablog.com

 

 

悩んでいる人は既に医師としての適性あり

 

医師としての適性なんかやってみないとわからないのだから、私は医学部定員を増やして医師として向いてないとわかったのなら方向転換するほうが適切だと思っております。

 

18歳の高校生に重い決断を強制して、医学部進学後はほぼ全員が臨床医になるというのは健全に思えません。

 

しかし、現実には日本医師会のロビー活動もあるでしょうから、そのようにはまずならないでしょう。

 

嘆いても仕方ありません。

 

過酷ですが受験生のみなさんは決断しないといけません。

 

私個人の考えとしては、悩んでいる時点で医師としての適性ありです。

 

実際に働いてみたら色々な医師がいるわけですよ。

 

後期研修医以下の実力しかないヤブ開業医もいますし、頭パッパラパーな私立医卒業者もいます。

 

特に東京で働いていると、お前ただ東京で遊びたいだけやろ、と言いたくなるような者も見かけます。

 

そんな人と比べたら、悩んでいる受験生は医師として適性あると思うのです。

 

※全体として見れば、まともな開業医、私立医卒業者のほうが多いです。

 

 

人は変わる

 

人というものは、変化するものでして、それが余計に医師としての適性の判断を難しくさせます。

 

輝かしい実績を持つとある医師が教授選で破れ、冷や飯を食わされるようになってから別人のようにやる気を失ってしまったケースもあります。

 

学生時代にはコミュ障丸出しで、到底医師として向いていなさそうな人も、実際に医師として働くようになってから本人の努力で医師らしく患者と接することができるようになったケースもあります。

 

これまでとある科で働いていても、途中で気が変わって別の科で働き始める人もいます。

 

モチベーションひとつとっても、上がったり下がったりと波を繰り返しています。

 

受験生時代の気持ちなんてあてになりません。

 

 

とりあえず受験勉強しましょう

 

アレコレ考えても仕方ありません。

 

人の見る目なんかあてになりませんし、私がこれまで述べてきたことが大嘘の可能性もあります。

 

数分後に先頭で何がゴールするのかが何かを予想するだけの競馬ですら簡単には当たりません。

 

簡単に的中できる人は馬券で飯を食っていけます。おめでとうございます。

 

医師としての適性については構成する要素が複数あるので競馬以上に難しいです。

 

ですから他人の評価なんてあてになりません。

 

つべこべ言わず勉強しましょう。

 

受験勉強を頑張って結果を残せれば、少なくともコツコツと勉強できる能力の証明にはなります。

 

みっともないのが、働いたことすらないのに医師像について語る浪人生です。

 

私の高校の同級生にもいましたが、目の前の勉強に取り組めないというのは真剣さが足りないんじゃないんですかね。

 

まるで、恋愛テクとかロクに話したこともない女の子について評価を下す童貞のようです。

 

正直言ってキモいです。

 

頭の中で色々こねくり回す前に、さっさと女の子を食事に誘えばいいんじゃないのかと。

 

受験生のみなさん、頑張ってください。

 

勉強法についてはこちら。

qoltimeandmoney.hatenablog.com