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救急外来を受診しないほうが良いの?→実は受診するのはOKです

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2018年は豪雨に加えて猛暑もあり、体調不良や怪我になる方は多いのではないでしょうか。

 

救急車の要請は増えているでしょうし、救急隊員の方や救急外来スタッフは日々お疲れかと。ご自愛下さいませ。

 

たくさんの患者さんがいますと本当に緊急性のある方からしょうもない理由でやってきた色々な方がいます。

 

救急搬送によるコストは現在の日本では患者負担0円で全て税金でまかなっております。

 

救急車の要請が多過ぎて対応が追いついていない場面もあり、さらにはタクシー代わりに使う者もいるため、本当に必要としている人の元へすぐには駆けつけられないという問題が起こっています。

 

そのため不必要に救急車を呼ばないようにと自治体がポスターを掲示することもあり、「え?救急外来って受診しちゃいけないの?」と思う人もいるでしょう。

 

結論から言います。受診するのは問題ありません。

 

救急車呼んだ人に対するバッシングに私は否定的です。

 

受診はOKですが、以下の条件を守ってもらえればと思います。

 

・タクシーで来れそうならまずはタクシーを

・診断や治療は期待しない

・入院については医師の判断に従う

・1分に満たない診療でも帰宅するように言われれば大人しく帰る

・普段から健康に気をつける

 

 

トップ画像は下記より転載

 

こんな理由で…?「すぐに救急車を呼ぶ人」の呆れた行動3選

https://sirabee.com/2018/06/23/20161649030/

 

 

 

 

 

 

救急外来を受診すべきかどうかは誰にもわからない

 

不必要な救急外来を抑制するために症状に応じて受診すべきかどうか判断するようにする風潮もありますが、私は反対です。

 

なぜなら、電話で症状を聞いただけでは受診すべきかわからないからです。

 

患者さんにとっては痛みなどの症状が強くても病気としてはたいしたものじゃないこともあれば、逆に症状は軽くても命に関わるケースもあります。

 

実際に私がかつて働いていた病院で、他の医師が診ていた患者さんで起こったことです。

 

なんとなく気分が悪いということで、家族に連れられてwalk-inで救急外来を受診した患者さんがいました。

 

walk-inは救急車を呼ばずに自分で救急外来の窓口で受付をして受診することです。

 

実際の患者さんなので病名を書くことはできませんが、検査をしてみると致命的な病気だということが判明してそのまま緊急手術となりました。

 

結果は、手術中に亡くなられました。

 

なんとなく気分が悪いな、で病院にやってきてわずか数時間後に亡くなってしまったわけです。

 

私はその患者さんを診ておりませんし現場にもいなかったので伝聞ですが、その日一日はその患者さんの話題でもちきりでした。

 

一方で、患者さんの訴えはすごく強くても診てみたら全然大したことのない場合も多いです。どこにでも大げさな人はいます。

 

患者の訴えの強さと病状の深刻さは必ずしも一致しないんですね。

 

結局は診てみないとわからないのです。

 

すぐに受診したほうがいいのかどうかわかりません、という電話問い合わせに対応することを頼まれることがたまにあります。

 

事務では判断がつかないから先生お願いしますということでこっちに回ってきます。

 

でも、医師でもわかりません。

 

私は、気になるようなら受診してもらっても構いませんと答えるようにしています。

 

なんとなく気分が悪いでやってきた人がわずか数時間後に亡くなったことが以前の勤務先であった私には話を聞いただけで受診不要とは判断を下せません。

 

もう一つ電話問い合わせの重要な点としては患者の言葉が信用ならないということです。

 

救急外来受診しようかどうか迷っている人は動転していることがあり落ち着いて話をできない可能性があります。

 

また、同じ言葉でも医師の解釈と患者さんの解釈が異なるケースがあります。

 

体の部分を表す言葉1つとっても医師は解剖学を学生時代に一通り勉強しているのに対して、患者さんはそんな勉強をしていません。

 

患者さんが意味を勘違いをしたまま言葉を使っている可能性もあるわけですね。

 

対面だと意味が食い違っていそうな時に違和感を感じ取って聞き直すことも容易ですし、痛いところを直接指し示してもらうこともできます。

 

片言の日本語しか喋ることのできない外国人と日本語でコミュニケーションする場面を想像してください。

 

面と向かって話をするのと、電話で話をするのとどっちが楽でしょうか。

 

患者さんが嘘をついているとかでなく、患者さんの言葉は信用ならないというのはこういうことです。

 

 

救急車の適正利用の呼びかけはあまり意味がない

 

救急搬送が追いついていないため、各自治体は救急車の適正利用の呼びかけを行っております。要するにしょうもない理由で救急車呼ぶなということですね。

 

時には、ネット上で救急車を呼ぶ人に対する厳しい声もあります。

 

 

しかし、この呼びかけも効果がどの程度あるのか疑問です。

 

実際に病院で働いていたらリピーターっているんですよ。年に何十回も救急外来受診してしかも毎回救急車という。

 

そういう人っていくら言っても聞かないんですよね。

 

バカは死ななきゃ治らない、と昔の人はよく言ったものです。

 

ですから、救急車呼ぶのを控えるように訴えかけてもあまり意味がないのではないかと。

 

むしろ、行き過ぎてバッシングのようになってしまうと、本当に救急車を呼ぶ必要のある善良な方が遠慮して大変なことになってしまう危険性があります。

 

そもそもとして、救急車の適正利用を呼びかける理由は何ですか。本当に必要な人に行き渡るためでしょう。

 

ただ、しょうもない理由で救急車を何度も呼ぶ者がいるのは事実なのでタクシー代と同じだけお金をとっても罰は当たらないのではないでしょうか。

 

近くに受け入れ先のない人のことを考慮して上限を5000円(高速道路代込)に設定するとかで。

 

 

まずはタクシーを考えよう

 

救急外来の受診方法には救急車を呼ぶ方法と自分で言って救急外来窓口で受付する方法(walk-in)があると先程述べました。

 

症状では受診すべきかわからないのですから結局は受診することになるでしょうが、同じ受診するにしてもwalk-inで受診されたほうが医療関係者からすると負担が少なくなります。

 

救急車呼ぶかタクシーにするかはケースバイケースで結局は本人に判断してもらうことになりますが、大丈夫そうならタクシーの利用をお願いします。あるいは家族に送ってもらうとか。

 

受診そのものを控えるのはナンセンスなので、救急車以外の方法をまずは考えましょう。

 

もちろん無理はしてはいけません。

 

 

診断や治療は期待しない

 

初めに言います。

 

救急外来は診断や治療を行う場ではありません。

 

あくまで緊急性のあるものに対処するものであって、必要があれば緊急手術も行いますが、基本的には応急処置の場です。

 

その場で診断や治療まで済ましてしまえることもありますが、そうはいかないこともあります。

 

時間外だと行える検査の数が少なく診断まで至らないケースも少なくありません。

 

少なくとも緊急性のある病気ではないと判断して帰宅してもらっています。

 

もちろん診断がつかないと治療を行うのも困難です。

 

他には時間の制約があって対応が難しいこともあります。

 

いますぐ対応しないと命に関わる人がいれば、どうしても他の人の優先順位は下がります。

 

診断や治療まで至らなくてそのことを伝えると文句を言ってくる者もいますが、ムリなものはムリです。

 

詳しい検査をしてほしいのなら平日の日中に受診しましょう。

 

時に、薬を少量出したところ1ヶ月分出すよう要求する者もいますが論外です。

 

救急外来はあくまで応急処置の場で、その場で完治したらラッキーくらいに思っておいてください。

 

 

入院については医師の指示に従う

 

緊急性はなさそうでもすぐに帰宅するのではなく、一泊入院してもらって様子をみるケースもあります。

 

場合によっては救急受診してそのまま入院することもあるわけですが、入院については医師の指示に従ってください。

 

中には不安だから入院させてほしいと頼んでくる人もいますが、空きのベッドはあくまで必要な人のためにあるものです。

 

病院はホテルではありません。

 

また、入院となると救急外来だけでなく病棟のスタッフの仕事を増やすことになります。

 

入院が不要と言われたら大人しく帰宅してください。

 

 

1分に満たない診療でも帰るように言われれば大人しく帰る

 

救急外来にやってくる人は色々なことでやってきます。

 

中にはトリアージナースが聴取した病歴を読んで患者をチラっと診察して大丈夫と判断できるケースもあります。

 

短い診療時間でも大抵の人は納得して帰ってくれますが、中には診察時間が短いことに不満を持つ者もいるんですよ。

 

忙しい時に長話に付き合わされるのは迷惑以外の何物でもありません。

 

他に重症患者がいる時には特に軽症患者への対応が短くなりますが、仕方ないことなのです。

 

 

普段から健康に気をつける

 

最後に、理想を言っておくとそもそも体調が悪くならなければ問題はなくなります。

 

どうしても体調を崩すことはあるでしょうが、避けられるものは避けたほうが良いでしょう。

 

とはいっても、テレビCMでやってる健康食品を飲めとかそういうことではありません。

 

健康診断を受けたり、必要ならかかりつけ医から高血圧などの薬を処方してもらってきちんと飲むことです。

 

病気の早期発見ができたり未然に防げる効果が期待できるでしょうが、お薬手帳が役に立つんですね。

 

持病をたくさん抱えている高齢者だと自分の病気を把握しきれていないことがありがちですが、お薬手帳から持病を推測することができます。

 

また、薬の用法用量から腎機能障害がわかることもあるんですね。

 

健康診断受けていないから何の病気があるのか全くわかりません、という状況からスタートするのと比べるとスムーズさが全然違います。

 

体調不良の時にはなかなか余裕はないでしょうが、お薬手帳を忘れず持参してください。

 

最後に。

 

救急車を簡単に呼べるようにしたらフリーライダーが増えるし、簡単に呼べないようにしたら本当に必要な人が呼べなくなる可能性があります。

 

難しい問題ではありますが、受診自体は遠慮しなくても良いですが少しでも医療関係者の負担を軽くする形でお願いします。