当たればでかいビジネスと確実性のFIRE
医師のキャリアが多様化する中で、医師としての仕事とは違う副業に手を出し始めた医師や医学生が増えたことと推測されます。
先日、ブロガー限定という条件付きではありますがアンケートを取ってみました。
ブログをやっている医師、医大生に質問です。
— ピエール (@shameofirongate) April 16, 2019
ブログやnoteなど文字音声コンテンツの月間売上はいくらですか。
「閲覧する」を選択肢に入れると9割以上それになりそうなので入れてません。
ブログをやっている医師、医学生のうち月間の売上が
73%が1万円以下
10%が1万円から10万円
4%が10万円から30万円
13%が30万円以上
で総投票数は252票でした
この結果を見ると多くの人は稼げていないわけですが、月間で30万円以上と贅沢しなければそれだけで食うには困らない人もそこそこいることがわかります。
これから先の医師の将来性を見据え、副収入を増やすか家計を見直して切り詰めるか、できることは色々あるでしょうがそれらについて考察したいと思います。
一部の勝ち組と多くの負け組に別れる市場経済
市場経済では勝ち組と負け組が満遍なく存在する正規分布にはなりません。
人の身長が満遍なくバラけるのとは対照的です。
一部の勝ち組が圧倒的に稼ぎ、ほとんどの者は果実にありつけないベキ分布を取ります。
上位20%が80%を占めるという80:20のパレートの法則や梅田望夫氏が彼の著書「ウェブ進化論」で紹介して日本でも有名になったロングテールという言葉が示している通りです。
冒頭で紹介したアンケートは金額の区切りに妥当性があるかは疑問ですが、一部の勝ち組と多くの負け組に分かれていることがわかります。
下位73%のプレイヤーの売上を全部足しても上位13%のプレイヤーの合計の足元にも及びません。
副業とは言うものの当直バイトなどの時給労働じゃないものは安定感がまるでありません。
成果が出ない原因として努力量が足りないと言う人もいるかもしれませんが、ブログなどのクリエイティブなものにはそう簡単に当てはまるものではありません。
努力というと「一万時間の法則」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
平凡なヴァイオリニストとトップクラスのヴァイオリニストの違いを分けるものは鍛錬の量であり、誰でも一万時間練習すればその分野でエキスパートになれるというものです。
しかし、その法則はごくごく限られた状況でしか成立しないことを「クリック・モーメント」で指摘されております。
成功は“ランダム"にやってくる! チャンスの瞬間「クリック・モーメント」のつかみ方
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テニスのセリーナ・ウィリアムズなど猛練習を積んだトッププレイヤーを例に挙げ、確かに上達には練習量が必須ではあるものの、ルールがほとんど全く変わらない状況下でしか成り立たないとのことです。
ビジネスを興すのもそうですし、音楽や映画でも偶然の要素が大きく、練習量が多ければ勝てるというわけではありません。(もちろんアウトプットが多ければそれだけ当たりを引ける確率が上がるので量が多いことそのものは悪いことではありません)
今回はブログでアンケートを取りましたので文筆業を例にすると、「トワイライト」の当たりがまさに偶然と言えます。
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ヴァンパイアと人間の恋愛ものですが、ヴァンパイアの設定が無茶苦茶で文章そのものもまともじゃないど素人だからこそ書けた作品ですが、大ベストセラーとなりました。
この例が示すように、たくさん練習して上達すれば勝てるというわけではないのです。
ブログについても、努力しているからといって報われるとは限らず運の要素も大きいわけです。
時流というものもあって、仮想通貨アフィリエイトブログは2017年は内容がお粗末でレイアウトが洗練されていなくても大金を稼げていましたが、2019年の現在はいくら手練れのアフィリエイターが本気を出してもどうにもなりません。
副業は不確実という結論になります。
確実な節約を重視するFIREムーブメント
資産を増やす方法は突き詰めると
・収入を増やす
・支出を減らす
・資産運用を行う
この3つに分けられますが、収入を増やす副業と違って、収入増を当てにしないのがFIREムーブメントです。
支出を切り詰められるだけ削り、余った資金をひたすら資産運用に突っ込んでいきます。
副業にはないメリットはとにかく安定していることでしょう。
会社の業績次第や自分の成績次第で少々変動する可能性はありますが、会社に勤めている人は毎月決まった額が確実に入ってくるわけです。
副業も時給労働のバイトの場合はビジネスではなくこちらに含められるでしょう。
支出もコントロールしやすいもので、節約すればその分は確実に浮きます。
資産運用については多少の不確実性はありますが、市場全体に投資したり債券の比率を高めればリスク低めの運用をすることができます。
そもそもとしてFIREムーブメントを提唱している人たちは、会社に縛られることなく自由に生きることを重視して早期リタイアを目指しているわけです。
自分でビジネスを行う場合運に振り回されるのを覚悟しなくてはならず、彼らの価値観にはマッチしておらず、自分でコントロールできないくらいだったら少々生活が窮屈になっても自分でコントロールできる方が良いと思うのかもしれません。
もちろん、FIREでは少なくとも数年間はストイックな生活を送らなければならず、達成したところで自由な時間は手に入りますが贅沢ができるお金が入るわけではありません。
だからこそ、FIREには賛成派だけでなく否定派も多いんでしょうが、どちらを選ぶかは好みになるでしょうね。
投資の世界でもリスクが大きいほどリターンが大きい傾向にあります。良し悪しではなく好みの問題です。
不確実だけれども市場経済で一発狙うか、倹約必須だけれども確実に資産が増えるFIREか、あなたはどちらを選ぶでしょうか。