効率だけで習得しようとしても結局はどんくさい社畜に負けるよ
社畜というとダサいとか頭が悪いとか特に若者にとっては悪いイメージしかありませんね。
「石の上にも三年」という言葉もありますが、終身雇用は限界を迎えガンガン転職することが当たり前となっております。
社会の変化だけなく技術面での進歩もあります。
インターネットの発達で知識は簡単に調べられるようになり、効率よく勉強してスキルを身につけるのが今どきの勉強スタイル。
技を見て盗めなんて時代遅れ、技術を使いこなして効率よく独学すべし、そんな風潮ではないでしょうか。
しかし、最初から独学してはいけません。
最終的には泥臭く社畜をやってきたものが勝ちます。
何事もスマートに行うことが持て囃される現代ですが、独学にはダメな点があるからです。
あなたは人生で一度でも独学をしたことがあるのか?
独学とは
[名](スル)学校に通わず先生にもつかず、独力で学ぶこと。
デジタル大辞泉によるとこのように定義されています。
自分一人で勉強するということです。
独学でググってみると、仕事に役立つスキルや知識から受験勉強まで色々とヒットします。
独学の方法は参考書を読んだりインターネットで調べることが一般的です。
しかし、それって本当にあなた1人で身につけたことなんですか?
受験勉強にしても仕事にしてもゼロからのスタートではなかったはず。
最初は先生や上司の言うことに従ってそこから自分でどんどん身につけていったのではないでしょうか。
自分だけでやったというのはとんでもない思い上がりであって、取っ掛かりを作ってくれたのは先生や上司です。
全くの新しい分野は独学不可能
これまで教わったことと関連したことであれば、独学は可能です。
しかし、今まで学んだことのない分野は独学不可能と言っていいでしょう。
スキルや知識を身につけるのに時間がかかるばかりか、変な癖がついてしまってかえって有害になる可能性すらあります。
取っ掛かりがないからどこから手をつけて良いのかわからないんですね。
しかも、インターネットとかだとタチの悪いことにガセ情報が蔓延しております。
医療の分野だと、DeNAが運営していたWELQ問題が有名です。
ガセ、著作権侵害、薬事法違反なんでもありの有害とも言えるような情報が大量にあふれ、Googleの検索で上位に表示されたことから騙される人が後を絶ちませんでした。
医療従事者からするとあからさまな嘘であっても、素人からすると全く見抜けないんですね。
しかも、Googleで上位に表示されていたことから被害者の数も相当だったはず。
医学について身につけるべきは、単純な知識だけではありません。
交絡因子や偽陽性、偽陰性などの初歩的な統計学の知識を習得していなければ病気についての記述を読んだところでその病気について理解したことにはなりません。
現に医学部のカリキュラムには統計学の知識が取り入れられています。
医学について独学することも厳密に言えば不可能ではありませんが、血の滲むような努力が必要です。
映画化もされた「ロレンツォのオイル」では、副腎白質ジストロフィーという難病を患った我が子を救うために両親が医学について勉強をしている様子に触れられていますが、その勉強量たるや恐ろしい量です。
今の日本で医学について一部の者がHPVワクチンはじめ色々騒いでいますが、医学の勉強について正しいトレーニングを受けておらず、勉強量も圧倒的に足りていないため的はずれな意見ばかりです。
新聞などのマスコミはSNSで騒いでいる輩よりはマシですが、医学についてトレーニングを受けていないためズレたことを書いていることもあります。
彼らはいくらか勉強をしているはずですが、あくまで独学なので限界があるんですよね。
インターネットは誤った思い込みを強化する
独学に使う教材といえば書物でしたが、時代の流れでインターネットが一般的となりました。
インターネット特有の問題としては受動的な勉強ではなく能動的である点です。
新聞にしろテレビにしろこれまでのメディアは、相手が選んだものをそのまま受け取るものでした。
一方、インターネットはこちらから調べていかなければ情報はやって来ませんよね。
調べるにしても何をキーワードで調べるのか、そしてゴミ情報にまみれたインターネットの中でどうやって正しい情報を抜き出すのかが問題です。
調べる前からいくらか知識があればなんとかなりますが、何も知識がなければスタートすらできません。
そこで厄介なのが、最初に触れた情報がとんでもないガセだった場合はガセを取っ掛かりにして独学するので誤った知識が強化されてしまいます。
その誤った知識が自分にとって都合のいいものであれば、誰も止めることができません。
まるで雛の刷り込みのように一生続くでしょう。
インターネットで陰謀論が多いのも、いったん調べだすとその陰謀の根拠となる情報が次から次へと出てくるからですね。
本で勉強するにしても何の取っ掛かりもない状態では、恐ろしく時間がかかって非効率的です。
最初に何の本から手を付けるべきか、その本の中でもどこから手を付けるべきなのかわからないのだから当然ですよね。
極端な話、全部読んでから最初に読むべきところがわかったということもあり得ます。
最初はまともな人から教わるべし
何の取っ掛かりもなしにインターネットから始めるのはダメという話をしてきましたが、最初はちゃんとした人から教わるのがベスト。
受験勉強であれば、義務教育を受けた人は皆取っ掛かりを持っているので問題ありません。
問題は仕事です。
仕事であれば、優秀な上司や先輩から教わるわけですね。
ところが、優秀な上司や先輩というのは往々にして忙しいです。
教えてくれと言っても、向こうには向こうの都合があります。
ですから教わるためには、先方にとって都合のいい人間に自分がまずはならないといけません。
昔の言葉を使うと鞄持ちとかありますが、彼らの手足となって働きその合間に仕事を教えてもらう形ですね。
全くもってスマートではありませんが、泥臭く社畜にならなければなりません。
ここのステップを経て初めて独学の取っ掛かりとなる部分が手に入るわけです。
逆説的ですが、最初は一見非効率的に見える社畜になることが最短ルート。
取っ掛かりのない者がいくら勉強法やライフハック本を読んで効率的に勉強しようが取っ掛かりがないため、まともに前進しなかったり明後日の方向へ行っちゃいます。
一方、基礎のしっかりした社畜くんは独学によってグングン伸びていきます。
だから、最初は誰もが泥臭く教わるところからスタートすべきと。
社畜をただ続ければいいってものではない
社畜になるのはあくまでスタートで、そこから自分の勉強を重ねていきます。
「石の上にも三年」という言葉がありますが、これは人を雇う側の都合です。
すぐに辞められちゃったら採用や教育に費やしたコストを回収できないから。
習得しようとするものによっては、短期間でいいものもあるでしょうし、3年以上かかるものもあるでしょう。
例えば、外科医としてのトレーニングは3年以内では終わりません。
どの程度社畜をするのかは自分で判断していきましょう。
堀江貴文さんが彼の著書で、寿司屋の修行を何年もするのはバカという趣旨の発言をして物議を醸しましたが、必要と判断するだけ修行をすればいいわけです。
結論としては、完全に新しい分野の学習では独学はNGで誰かに教わりましょう、ということ。
丁稚奉公でもいいですし、お金を払って教わるのでもいいです。
後々に効率的に独学するために、最初は変なプライドを捨てましょう。