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男女平等社会が進むと高齢者の立場が悪化する

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超高齢社会である現在の日本では高齢者の置かれる立場はどんどん悪くなっています。

 

医療費や社会保障費が年々増大しており若者の手取りが減っている中で高齢者への風当たりは厳しく、65歳以上という従来の高齢者の定義を変えようとする動きもあるんですよね。

 

一億総活躍社会なんてまさしくそれです。

 

高齢者が社会のお荷物扱いされ世代間闘争の様相を呈しておりますが、将来の高齢者の肩身はますます狭くなるでしょうね。

 

 

 

 

 

 

高齢者へのリスペクトを決める3つの要因

 

高齢者は尊敬の対象であると同時に社会のお荷物という異なる属性を併せ持っておりますが、社会全体の中での高齢者へのリスペクトを決めているのは3つです。

 

  1. 社会の富の余裕
  2. 高齢者の人的資本の価値
  3. 高齢者を敬うべきという社会の空気

 

1の社会の富の余裕はシンプルな話でして、自分で食い扶持を稼ぐ余裕のない高齢者を養えるだけの富が社会にあるかどうかというものです。

 

食料がなければいくら高齢者にも分けようと思ってもどうしようもありません。無い袖は振れません。

 

大昔では自分で自分のことはできなくなった高齢者や病人は放置されたでしょうが、社会全体を維持するにはやむを得ないことで、もはや生産者ではなくなった高齢者を養う余裕が出てきたのは比較的最近の話です。

 

2の高齢者の人的資本ですが、これはほぼ無価値です。高齢者にとっては酷な話ですが。

 

昔は狩猟採集生活にしろ農耕生活にしろ100年経とうが大きく生活は変わりませんでした。

 

高齢者の知恵はそのまま孫世代でも使えたため長老の価値がすごく高かったんですよね。

 

しかし、テクノロジーの進歩する速度がどんどん早くなって10年20年前の知識が時代遅れになる時代です。

 

高齢者の知恵は役に立たないので尊敬を集めにくくなったわけです。

 

また、文字やインターネットもこれに大きく関わっております。

 

大昔は文字がなくて知識を保存しておく術がなく長老の口伝が重要でしたが、文字の発明により書き残すことができるようになり、さらにインターネットによりすぐに調べられるようになりました。

 

最後に高齢者を敬うべきという社会の空気ですが、これは国や時代によっても大きく異なるもので今回の記事ではここが本題です。

 

 

高齢者への尊敬と女性の人権のトレードオフ

 

かつての日本社会について話していきましょう。

 

家の中にはおじいさんおばあさんから孫まで何人もいてひとつ屋根の下で暮らしていたわけですが、みな独立した個人として扱われたわけではなく家を維持するための構成員でした。

 

家父長制にのっとり最も高齢の男性またはその長男が絶対的な権力を握り、他の者の人権は軽視されていたんですね。

 

高齢者が権力を握る構図であり、大家族で暮らす家の所有者も高齢者でしたので、体が動かなくなっても顎で嫁をこき使うことができたわけです。

 

自分自身に対してもそうですし、妻の面倒を嫁に見させることもできました。

 

権力構造だけでなく東アジアに広まった儒教の影響も大きいでしょう。

 

儒教では年長者が正義です。

 

日本以外でも家父長制が強い国では高齢者が尊重されやすい傾向にあり、イタリア南部やメキシコが該当します。

 

いずれも個人というよりは家族を重視する社会です。

 

日本では高度経済成長期を経て、高齢者とは別居する核家族が一般的になり家父長制が崩れました。

 

こうなると高齢者の面倒を見るインセンティブが働かないんですよね。

 

子どもたちは自分自身の家を持っていますし、個人主義が進んだため家の維持とか言われてもピンとこないわけです。

 

なんか遠くから年寄りがギャーギャー騒いでいるな、くらいの感覚にしかならないと。

 

男女平等となり女性の社会進出が進んだことがさらに高齢者の地位を低下させました。

 

かつては男が外で働き女は家のことをして男が権力を握るという構図で、まだ高度経済成長期には専業主婦が圧倒的多数派であったため大家族はなくなっても核家族内でのプチ家父長制は働いていたんですよね。

 

それが女性も外で働くようになり、男性も家庭内に関与することを求められるようになり家父長制は完全に崩れました。

 

女性の人権意識が高まるとともに家父長制に依存した高齢者の立場は悪化したといえるでしょう。

 

この流れは止められません。

 

というのも経済成長するに伴ってこれまで蔑ろにされていた女性の権利が尊重されており、ここには文化は関係ないからです。

 

女性の権利がないと思われがちなイスラム教圏でも、西欧と比較するとまだまだではあるものの着実に女性の立場が強くなりつつあります。

 

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

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ファクトフルネスに詳しく触れられておりますが、経済成長するに伴い女性一人あたりが生涯に産む子どもの数が減り、初等教育を受けられる女性もどんどん増えているんですよね。 

 

かつてのアメリカでも専業主婦が一般的な時代があり、もともとアメリカが今ほどリベラルだったわけではありません。

 

今のアメリカ社会を見本として個人主義、男女平等はますます進むでしょう。

 

私個人は、高齢者の立場を良くしようとする懐古主義者ではありません。

 

保守と称する人たちの中には高齢者が敬われた昔の大家族を取り戻そうとする人もいますが、家父長制のマイナス面を無視したとんでもない発想です。

 

個人の人権やプライバシーなんてありませんし、子どもを産めない嫁は石女と言われ散々な扱いを受けました。

 

仮に子どもが生まれても女児ばかりで男児がいないと一人前扱いされませんでした。

 

多大なる犠牲の上に成り立った高齢者に対する尊敬なんてないほうがマシでしょう。

 

最後に、個人レベルで高齢者が尊敬を集める方法ですが簡単なことですよ。

 

資産を持っておけば周りが放っておきませんし、なければ親族があなたを押し付けあうだけです。

 

残念ながらこれからの日本で年金を十分に受け取ることは期待できないでしょう。

 

資産が欲しければ若い頃から蓄積してピケティの提唱するr>gの恩恵を受けましょう。

 

資本が資本を産むというのは平安時代菅原道真の頃にもあった話で、こちらの記事で触れております。

 

qoltimeandmoney.hatenablog.com