多忙な勤め人向けの居心地重視の投資法
なぜこんなことを書いているのか。
投資は人生のためにあって、投資のために人生があるわけじゃないからです。
短期的な売買を繰り返してその差額で儲けるトレーダー向けの記事ではありません。
本業で多めの収入が得られており、投資はあくまで空いた時間でする人向けに書いていきます。
将来年金を貰える見込みは正直ありませんし、iDeCoが注目されたこともあり資産運用にこれまで興味がなかった人もやってみようかという気が起こった人が増えているはず。
資産運用には、金融商品が色々あって、短気向けのものから長期向けのものまであります。
しかし、何を買うかは気にしないでください。
結論としては、とにかく居心地を最重要視する、ということです。
自分自身のライフスタイルに重点を置いた投資法について述べていきます。
- トレードで消耗してはいけない
- 良いものを買えば儲かるという幻想
- 何を買うかは重要ではない
- 最初に考えるべきはどこまでリスクを取れるか
- 好きなものを買っていく
- マイホームは不動産投資
- ライフスタイルの変化に応じてリバランスを
トレードで消耗してはいけない
金融商品の差額で儲けるには、安く買って高く売る、あるいは高く売って安く買う、という非常にシンプルなことですが、意外とそう簡単にはいきません。
適当に売買を繰り返しても儲かるどころか手数料でマイナスになりますし、何より体力的にも精神的にも消耗するというデメリットがあります。
大きいポジションを取ってしまうと仕事中に気になってしまい集中力が削がれてしまいます。
高収入の勤め人の場合は、往々にして長時間労働になりがちで何かあったときにポジション解消できるとも限りません。
トレードで仮に勝ったとしても、値動きに翻弄されて本業のパフォーマンスが落ちてしまえば、本業からの収入が落ちかねません。
さらには睡眠時間も削られるという問題があります。
要するに、多忙な勤め人の場合トレードはかけた労力に見合わないんですね。
特に、医師の場合はトレードが割に合いません。
短期トレードで稼げても微々たる額ですし、空いた時間に何回か当直バイトをすれば数十万円を確実に稼ぐことができます。
儲かるかどうかわからないトレードと確実に稼げる当直バイトのどちらが良いかは明白でしょう。
私自身もトレードを齧ったことがありますが、仮に上手く行ったとしてもかける労力の割に精神を消耗するだけで得られるものが少ないことを実感しました。
種銭を増やすとか高レバレッジかけるとか儲ける金額を増やすための方法はありますが、そんなことをすれば仕事が手につかなくなります。
良いものを買えば儲かるという幻想
トレードがダメだからといって長期投資にすれば大丈夫かと言えばそうとも限りません。
多少の値動きはあっても良いものにはそれに見合った値がつくもので、実際の価値より過小評価されているものを買うべし、とするファンダメンタル派は長期投資の場合だと比較的多い印象ですが、それで上手くいくわけではありません。
そもそも本業が忙しいのに、何をもって「割安」と判断するのでしょうか。
機関投資家や個人の専業投資家が血眼になって日々割安なものを探し続けているのですから、我々のような本業に時間を取られている者が見つけたときには既に仕込まれた後なのです。
市場が効率的であるため割安なものはなかなか落ちていないのです。
ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理
- 作者: バートン・マルキール,井手正介
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2016/03/10
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (7件) を見る
市場が効率的であることについては、ウォール街のランダム・ウォーカーなどに詳しく記述されています。
ちなみに、長期投資の神様として扱われているウォーレン・バフェットも損切りすることがありました。
長期投資というと世間では買って放置という誤解をされがちですが、適宜売りをする必要もあります。
何を買うかは重要ではない
割安なものを仕事をしつつ狙ってとるのは非常に難しいです。
これは株に限らず不動産でもそうでしょう。
日々プロたちが血眼になって探しているのですから掘り出し物はあまりありません。
もちろん、不動産は株と違って市場が効率的ではなく、相続税支払いのためにすぐに現金化したいという持ち主の事情なども絡んでくるので掘り出し物は株よりは期待できるでしょう。
しかし、その掘り出し物を手に入れるためには知識やすぐに交渉できるフットワークが欠かせませんから多忙な勤め人には無理でしょう。
じゃあ、何を買うかとなったときに購入する金融商品の種類は重要ではありません。
リスクとリターンが割に合えば何でもいいのです。
株でも債権でも不動産でもビットコインでも割りに合えば何でも良いのです。
最初に考えるべきはどこまでリスクを取れるか
基本的な大原則として、リスクが大きいものほどリターンが大きいという法則があります。
明らかな詐欺商品だったり地方銀行や証券会社が高齢者を嵌め込むための商品は世の中にありますが、まともな金融商品はリスクとリターンについての一定の法則に従います。
美味しい話なんてないんですね。
あったら売る側が自分で買うはず。
高いリターンを期待するには高リスクのものを選ばなければならないというわけで、まずはどの程度リスクを取れるかを計算しなければなりません。
リスク許容度は年齢や家族構成など様々な因子に影響されます。
若い独身であればリスクを取っても問題ありませんが、定年が近くて子どももまだ大学にいて働いていないという状況ではリスクをあまり取れません。
もちろん自分自身の性格や投資目的にもよります。
積極的に増やしたいのか、資産を守ることが目的なのか。
好きなものを買っていく
リスク許容度を考えた上で好きなものを買っていきます。
極論を言うと、リスクに見合ったリターンがあってリスクが許容範囲内なら何でもOKです。
好きなものというのが1つ重要な点であって、これが居心地の良さに繋がります。
居心地が良いと本業に集中することができます。
本業でしっかり稼げないと本末転倒ですからね。
マイホームは不動産投資
注意すべき点としては不動産投資があります。
マイホームは不動産投資ではないという意見もありますが、夢とか色々持ち込もうがマイホームは不動産投資です。
物件を自分で購入し、家賃を自分が払って自分が受け取っているだけのことです。
マイホーム派と賃貸派の戦争を始めると長くなるので置いとくとして、マイホームを購入することが不動産投資であることは事実です。
資産形成という点から考えれば、立地条件などから見合った額で購入しなければなりませんし、必要があれば売る時のことも考慮して風変わりな間取りは避けなければなりません。
また、不動産で注意すべき点としては、1つ1つの金額が大きいため1つ購入しただけでもポートフォリオでかなりの割合になってしまうこともあります。
稼ぎまくってる人は別ですが、普通にしていたら1つ買えばそれで不動産については終了になってしまうでしょう。
ライフスタイルの変化に応じてリバランスを
ここまでをまとめると、
・本業で忙しい人は消耗するような投資をしてはいけない
・おいしいものは落ちていないし、あったとしても本業で忙しいと拾えない
・リスクが高いほどリターンは大きい
・リスク許容範囲内で好きなものでポートフォリオを組む
・不動産投資に注意
ということになります。
そして最後に言いたいことは、必要に応じてリバランスをすることです。
リバランスというと一般的には特定の資産の割合が値上がりで高くなった時にその割合を調節して落とすことを指します。
さらに追加して、ライフスタイルに応じたリバランスを行っていきます。
自分が年を重ねるとか、退職するとか、子どもが独立するとか、節目が色々ありますが、人生は移り変わっていきリスク許容度も変わります。
そのリスク許容度に応じてリバランスを行っていくわけです。
やることは結局売買ですが、値幅を取るためではなく居心地の良いポジションに居続けるためにするイメージを持ってやります。
資産運用が昔と比べると持て囃されてはいますが、トレーダーでもないのに投資で消耗するのは本末転倒です。
多忙な勤め人だと本業あっての投資ですから、居心地の良さを追求すべきです。
私自身が投資をしている理由は、全資産を日本円で置いておくことに抵抗があるからです。
全額日本円にしておかないと落ち着かない人は外野からは色々言われるかも知れませんが日本円のままでいいでしょう。
投資はあくまで自分の人生を充実させるためにあります。
投資のために人生があるわけではないので居心地を大切にしましょう。